こんにちは、心電図イラスト管理人のNABEです。
今現在、世間では新型コロナウィルスで話題が持ちきりです…
早く新型コロナウィルスが終息することを願いつつ、新型コロナウィルスに羅患された方々には心よりお見舞い申し上げます。
私も医療従事者ですので気が気じゃありません…
自分の大切な人たちを守るためにも、常時細心の注意を払って行動するよう心掛けています。
さて、新型コロナウィルスの影響で人工呼吸器やECMOについてニュースで取り上げられることが多くなってきました。
人工呼吸器もECMOも我々臨床工学技士が携わる治療方法になります。
人工呼吸器については聞いたこともある方も多いと思いますが、ECMOについては認知度も低い印象です。
実際、家族や友人からも「ECMOって何っ?」と聞かれることも多くなってきました。
そこで、今回は臨床工学技士が従事しているECMOについてイラストも付けて紹介したいと思います。
概要
ECMO(エクモ)とは、体外式膜型人工肺(Exstra Corporeal Membrane Oxygenation)を略してECMOといいます。
ECMOは、肺炎や重症呼吸不全、急性心筋梗塞などの循環不全により瀕死の患者に対して、呼吸と循環をサポートする目的でしようされます。
要は、太ももと首に太い管を入れて体外に血液を出し、血液を人工肺で酸素化することで肺を休ませ、遠心ポンプで血液を送ることで心臓を休ませてあげる治療方法になります。
しかし、この治療方法は本当に患者さんが生きるか死ぬかの瀬戸際で行う治療方法です。心臓マッサージや気管挿管と同時進行でやるような治療なので、現場は修羅場となっております…。
そんな中でも、臨床工学技士は迅速かつ正確にECMOを回す準備をしなければなりません。充填液でECMOの回路や人工肺に空気が残らないように洗い流します。機械を持ってきて、回路や人工肺をセッティングして、充填液でプライミングという工程を5分以内で出来るようにします。
ECMOを導入している施設は限られているので、臨床工学技士でもこの治療に携わっている方は限られています。1分1秒を争う治療法なのです。
ECMOの種類
V-A ECMO
V-A ECMOとは、大腿動脈と大腿静脈から血液を送るための管(送血カニューレ)と血液を引き込む管(脱血カニューレ)を挿入して、静脈血を身体の外に導き出し、遠心ポンプで人工肺に送り出すことで酸素化を行うとともに、強力な流量補助が可能となる治療方法です。
脱血カニューレは19~29Fr程度、送血カニューレは17~21Frを使用します。脱血カニューレは多くの血液を引き込まなければいけないため、太さにして6.3~9.7mmの管を太ももから入れることになります。
循環動態のサポートを主な目的としますが、ガス交換も行えるため肺補助としても使用することができます。
欧米では、V-A ECMOと言いますが、日本を含めたアジア圏内では経皮的心肺補助装置(PCPS:Percutaneous Cardio Pulmonary Support)と呼ぶことが多いかと思います。
V-V ECMO
V-V ECMOは、下大静脈から脱血し、上大静脈などに酸素化された血液を戻す治療方法になります。
こちらが現在流行している新型コロナウィルスに羅患された方に行う治療方法となります。新型コロナウィルスにより肺炎等を起こすことで、肺でうまく血液を酸素化することが困難になってしまいます。そのため、静脈血を人工肺で酸素化することにより、肺補助することが可能になります。
先ほどのV-A ECMOとの違いは、心臓も補助してあげないといけない状況であればV-A ECMO、肺のみの補助が必要な状況であればV-V ECMOを選択するということになります。
ECMOのエビデンス
あまり日本ではV-V ECMOを導入しているところは少ないと思います。
それは、急性期に特化した病院(3次救急)でなければいけなかったり、循環器のドクターがいなければ出来ない治療方法であったりするからです。
また、ECMOを開始したからといって、その後も管理も重要になってきます。ドクターや看護師さんに臨床工学技士と様々な業種が関わってくるため、病院の体制が整っていないとECMOを導入することが厳しいのです…。
そのため、日本では肺補助には人工呼吸器で対応することが多いかと思います。
しかし、海外ではECMOにおける様々な報告があります。
Noahらは、H1N1インフルエンザ関連ARDS患者に対し、ECMOで管理した群と人工呼吸器管理を継続した群に分けて解析したところ、死亡率が24.0% vs 46.7%という結果となりました。これは、ECMOを施行した群の方が有効である可能性を示しました。
他にも多くの報告があり、このことからECMOによる治療は有効であることが示唆されました。
如何だったでしょうか?
新型コロナウィルスは飛沫・接触により感染します。
手指消毒に咳エチケットを心がけましょう。
また、37.5度以上の発熱や風邪症状が4日続いた場合は、各都道府県の『帰国者・接触相談センター』に連絡をお願い致します。
1日も早く終息することを心より祈っております。
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